Lofree Cloudシリーズ「Surfer / Void / Pulse」スイッチが、2025年9月29日より Lofree Japan公式ECサイト にて販売開始されました。
先月開催された TOKYO KEYBOARD EXPO(TKX) で先行販売が行われており、すでにLofreeユーザーや自作キーボード界隈の間でも注目を集めているスイッチです。
このCloudシリーズは、前作「Shadowシリーズ」の後継として開発された LofreeとKailhにより共同開発されているロープロファイルスイッチ で、 Lofree Flow2 にも搭載されているスイッチです。
私自身、Flow2の68キー・84キーモデルの両方で3種類すべてのスイッチを試しましたが、打鍵感が全体的に向上しており、特にSurferとVoidはシリーズ名の “Cloud (雲)” を象徴するような軽やかな押し心地が印象的です。
また、ライトディフューザーの採用を含めスイッチ構造や内部設計もアップデートされており、より完成度の高い仕上がりになっています。
スペック一覧
| Cloud | Surfer | Void | Pulse |
|---|---|---|---|
| スイッチタイプ | リニア | リニア(静音) | タクタイル |
| 素材 | POM + PC(ライトディフューザー) | ||
| 作動力 | 40 ± 10 gf | ||
| 総トラベル | 2.8 ± 0.25 mm | ||
| 作動トラベル | 1.3 ± 0.3 mm | 1.3 ± 0.3 mm | 1.6 ± 0.3 mm |
| スプリング長 | 15.5 mm | ||
| 耐久性 | 5,000万回 | ||
| ファクトリー ルブ | あり | ||
Cloudシリーズのスペックは、Pulseの作動トラベルが1.6mmという部分以外は、どのスイッチタイプでも同じ数値になっています。しかし、それぞれのタイプで打鍵感が明確に違うので、好みの打鍵感で選択することをオススメします。
前作Shadowシリーズのスペックも把握しておくと、違いが分かりやすいので、参考までにこちらにスペック一覧を掲載します。
| Shadow | Specter | Hades | Ghost | Phantom |
|---|---|---|---|---|
| スイッチタイプ | リニア | リニア(静音) | リニア | タクタイル |
| 素材 | フルPOM | ボトム・ステム:POM トップ:PC ※ | フルPOM | フルPOM |
| 作動力 | 40 ± 15 gf | 40 ± 10 gf | 50 ± 15 gf | 45 ± 15 gf |
| 総トラベル | 2.8 ± 0.25 mm | |||
| 作動トラベル | 1.2 ± 0.3 mm | 1.3 ± 0.3 mm | 1.2 ± 0.3 mm | 1.6 ± 0.3 mm |
| スプリング長 | 15.5 mm | |||
| 耐久性 | 5,000万回 | |||
| ファクトリー ルブ | あり | |||
各スイッチの打鍵感・打鍵音



Surfer(リニア)
非常に軽快でスムーズな押下感。フワッとした軽さがあり、最も“Cloud”らしいリニアです。
打鍵音は透明感のあるキレイなカタカタ系。音量は少し控えめになっているようです。
ShadowシリーズのGhostで作動力 50gf、Specterで40gfと徐々に軽い仕様に変遷してきています。Surferは同じ40gfですが、こちらの方が軽い押し心地で打鍵音も軽めのトーンになっています。クリーミーさが軽減されていて、キレの良いタイピング感覚です。実際にタイピングしてみると、ハッキリと違いが判るほどの差があります。



Void(静音リニア)
静かで滑らかなタッチが特徴的で、軽やかで落ち着いたタイピング感覚です。
静音スイッチ特有のシリコン感が少なく、フワッと軽い打ち心地。それでいて底打ちのコツっとした感覚と丁度良い具合の跳ね返りがあり、非常にタイピングしやすいです。Flow lite JISのデフォルトスイッチとしても採用されています。
打鍵音は底打ち時の軽いコツっとした音が心地良いです。ストローク全体としては、滑らかさのあるスコスコとした感じの音が僅か聞こえるくらいで非常に静かです。
HadesとVoidはスペック的には全く一緒なので、ほとんど変わらないというレビューも見かけますが、よくよく比べると進化していることがわかります。Voidの方が軽い押し心地で、ボトムアウトとトップアウト時の音が静かで、衝撃も抑えられているように感じます。



Pulse(タクタイル)
タクタイルタイプでしっかりとした抵抗感(バンプ)があり鮮明な打鍵感です。打鍵のリズムを感じやすく、ハードタイピスト向けです。
Surferよりも低音で厚みのあるカタカタ系の打鍵音。3種類の中では一番コトコト系に近い音質です。
タクタイルもかなり人気があり、タクタイル好きの方はこれ一択かなと思います。
前作 Phantomの作動力45gfから、Pulseは40gfと軽くなっています。実際にタイピングしてみると、Phantomに比べてPulseの方がクリック感(バンプ)が軽くなっています。ただ、それでもリニアとは違ってクリック感が明確なので、普段リニアを使っている方は驚くと思います。
Flow2のスペースグレイを購入して使ってみたところ、個人的にはもう少し柔らかい方が良かったかなと感じています。
打鍵音はPulseの方が好みですが、打鍵感はSurferの方が好きなので、かなり迷ってしまいます…。
なので、結局場所を選ばず使える静音Voidを使う頻度が高くなっています。
ロープロファイルスイッチというと、NuPhy Nanoシリーズ(Gateron ロープロ 3.0)も人気があります。Nanoシリーズは総トラベル(ストローク)が3.2~3.5mmあるので、タイピング感覚が大きく異なります。NuPhy Kick75やAir75 V3で搭載されていて、こちらも非常にタイピングしやすくなっています。それぞれに違った良さがあるので、ここは好みが分かれるところだと思います。
また、Lofreeのロープロファイルスイッチは、Kailh社の「Choc V2」という薄型スイッチ規格をもとに、独自に改良したものになります。そのため、Lofreeのロープロファイルキーボードだけでなく、Choc V2規格のキーボードであれば互換性があるので交換可能です。
※Gateron ロープロ系とは互換性はありません。スイッチを交換する際は注意が必要です。
構造の違い
ここまでスペックや打鍵感・打鍵音についてみてきましたが、Cloudシリーズは構造そのものが変わっています。ライトディフューザーのパーツ形状が特殊で、ボトムまで突き抜ける形で埋め込まれています。そのためトップ・ボトムの両ハウジング形状も特殊な構造になっています。
以下、公式サイトに掲載されている情報です。細かい部分は公式の画像の方が見やすいのでお借りしました。

ディフューザーにより透過面積が3.2倍に


スイッチの許容誤差を0.05mmから0.04mmに縮小することで精度が向上。キーストロークが12%スムーズになり戻りもより安定します。
各スイッチ内の接点ドット(スタビライザードット)の数を6個から12個に増やすことで、ステムが中央にしっかりと固定されます。これにより、軽い押し込みと鮮明で素早い反発、そして完璧にまっすぐな垂直移動が可能になる。
まとめ
発売情報を軽く紹介しようと思って書き始めたら、途中からしっかりまとめておきたくなったので、比較記事のようになってしまいました。
Cloudシリーズ「Surfer / Void / Pulse」スイッチは、ライトディフューザーを大きくするためにハウジング構造が改良されていました。そしてタイピング感覚を軽くしつつも精度を高め、より安定感のあるスイッチに仕上がっています。
Cloudシリーズの方が新シリーズなので、新しいスイッチが欲しくなってしまいますが、Lofreeのスイッチ単体販売は他メーカーよりも価格設定が高めです。
SurferとPluseは1個あたり180円、Voidは1個あたり190円となっています。(グローバルサイトのようにまとめ買い出るようにしてくれると嬉しいですね。)
また、Shadowシリーズとは打鍵感が異なるので、価格もふまえて考えると、打鍵感の好みに合わせてというのが一番良いかと思います。
軽いタイピング感覚の方が好みという方は、確実にCloudシリーズをオススメします。
逆に、Shadowシリーズの重さが丁度良いと感じていて、これ以上軽くしたくないという方は現状維持で大丈夫だと思います。
とは言え、軽い方が好み!という方が多いのかなと思います。
初代FlowやFlow Liteユーザーも好みに合わせて、スイッチを交換してみるのもアリだと思います。
Flow2がグローバルサイトの方で販売開始されているので、次に控えているのは順当にいけばFlow Lite2ということになるので、そこでスイッチも刷新されるのか、それともCloudシリーズ続投になるのか、今後の展開が楽しみなところです。









