今回はNuPhyの磁気スイッチゲーミングキーボード HEシリーズの「NuPhy Halo65 HE」をレビューします。2024年はNuPhy HEシリーズが続々登場し、6月にField75 HE、8月にAir60 HE、11月にHalo65 HEとAir75 HEのプレオーダーが開始されています。あとはHalo75 HEを残すのみとなっています。ところでメカニカルのHalo65 V2はいつになるのでしょうか?
Halo65 HEは、Halolight 1.0を採用していることから、メカニカルの第1世代Halo65をデザインベースとしているようです。Field75 HEとは違い、よりシンプルなモデルとなっています。私自身もHaloシリーズは65 V1から使用していますし、根強い人気があると思います。そして、スイッチオプションは「Magnetic Coral」と「Magnetic Jade Pro」の2種類から選択できます。今までField75 HEやAir60 HEのレビューでNuPhyのゲーミング性能を紹介してきたので、今回は省略してレビューします。その代わり、スイッチにフォーカスしてレビューしたいと思います。デモ機はMagnetic Coralの方を提供していただきましたが、別途Magnetic Jade Proスイッチを用意したので、比較しながらレビューしたいと思います。
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NuPhy Halo65 HEの主な特徴
- 65%レイアウト 67キー(方向キーあり)
- Halolight V1.0
- ポーリングレート8000Hz、PCBスキャンレート2500Hz
- MCU(Nu1-8K-S-2405)クロック 144MHz
- レイテンシー(低遅延)0.25ms
- ラピトリ感度(調整段階)0.02mm
- Magnetic Coralスイッチ(40±10gf、デュアルレール)
- Magnetic Jade Proスイッチ(36±10gf、安定・高性能、快適な打鍵音)
- アルミニウムプレート&トップマウント構造
- ガッチリ硬めの打鍵感
- 打鍵音が最高にキレイ
- キーキャップデザインを変えてほしかった
デザイン・構造
デザインの特徴はやはり第1世代のHalolightとField75 HE譲りの配色デザイン。全体的にゲーミング感は強くありつつも、シックにまとまっていると思います。第1世代のHalolightは懐かしくもあり、地味にカッコ良いですね。そしてトップとボトムは同じグレーでも濃度が違うので2トーンのような雰囲気です。
キーキャップはField75 HEと全く同じものを採用されています。スペースバーはGhostbar仕様で配下の隙間にはシリコーンキャップが採用されています。この組み合わせは本当に神仕様だと思います。全てのメーカーに採用して欲しいです。そして、スタビライザーもしっかり潤滑されていてノイズレスで調子が良いです。ガタつきもありません。
Field75 HEから使っていて今更気づいたのですが、ホームポジションの突起が薄く少しわかりにくいです。ホームポジションを大事にする方はご注意ください。また、メカニカルのHaloシリーズではAirシリーズのキーキャップデザインを継承していたので、HEシリーズも同様に、Air HEのキーキャップデザインを採用して欲しかったなと思うところはあります。Air HEのキーキャップがかなりカッコよかったので、別売りでノーマルプロファイル版を出して欲しいですね。
ケース素材はアルミニウムトップ、ABSボトムとメカニカル版と変わらない構成です。ボトムが透過していないので、V1のような組み合わせになっています。また、フォーム類はField75 HEと同様ですが、アルミニウムのトップケースはNuPhy特有のプレート一体型になっているため、Field75 HEのようにケースとプレートの間にシリコンパッドをサンドする構造にはなっていません。ガスケット構造も採用されていないため、がっちりトップマウントとなっています。
磁気スイッチ
今回のデモ機はMagnetic Coralモデルとなっていますが、Magnetic Jade ProをAmazonで購入して用意したので両方試してみました。YouTubeのレビュー動画の方ではタイピングシーンも入っているので、打鍵音を聞き比べてみてください。
以下の画像は公式サイトに掲載されているスペック表です。
Magnetic Coral
- イニシャルフォース:40±10gf
- エンドフォース:60±10gf
- アクチュエーションレンジ:0.1 – 4.0mm
- ボトムアウト マグネティックフラックス:700±80Gs
- ライフスパン:150 million clicks
Magnetic Coralスイッチは、キーカラーに合わせたオレンジ色のステムが可愛らしいです。キーキャップを付けてしまうと見えませんが、キースイッチが可愛らしいと見てるだけで癒されます。
イニシャルフォース 40±10gfなので、スペックとしては標準的な重さのように見えますが、意外としっかりとした重さやリバウンドがありました。そして、デュアルレールを採用しているため、タイピング時の安定感が高く、ブレの少ないタイピングができます。Jade Proとは違いストロークが4.0mmと深くなっているので、タイピストはもちろんゲーミングでダイナミックキーストロークを設定する際など、余裕を持たせるような設定も可能です。
打鍵音は、Field75 HEで採用されている通常Jadeに近い感じの音質ですが、よりクリアで落ち着いた音になっています。
Field75 HEとはケース素材やマウント構造が違うため、打鍵音・打鍵感ともに硬めでカツカツとした感じがあります。初代Halo65の打鍵感に近いものがあり懐かしい感じがしました。
Magnetic Jade Pro
- イニシャルフォース:36±10gf
- エンドフォース:50±10gf
- アクチュエーションレンジ:0.1 – 3.3mm
- ボトムアウト マグネティックフラックス:700±40Gs
- ライフスパン:100 million clicks
Jade Proスイッチは、イニシャルフォース 36±10gf・安定性・高性能、快適な打鍵音が特徴になっています。Jade ProはHalo65 HE以外でも様々な磁気スイッチゲーミングキーボードで採用されていて、安定した動作などゲーミング性能に定評があります。
打鍵感は試打してみたところ、CoralよりもJade Proの方が若干軽くなっています。Field75 HEの通常Jadeと比較すると重く感じました。デュアルレールではありませんが、ステムとハウジングの噛み合わせしっかりしていて、キーキャップのはめ込みも硬くなっているので軸ブレが少なく、非常に安定した打鍵感です。ゲーミング用途の場合は、軽く浅く安定したスイッチが好まれるので、ゲーミング特化で使うのであればJade Proを選択して間違いないです。
打鍵音については、麻雀牌同士が当たるような打鍵音と表現されることが多いのですが、Jade ProはCoralや通常Jadeよりコトコトとした重い音になっています。Coralはボトムハウジングのポール底部が解放されているのに対して、Jade Proは閉じているような構造(Sealed-Bottom構造)になっています。打鍵音好きの私としては、こちらの方が好みの音です。
どちらのスイッチにも良さがあるため迷ってしまいます。ゲーミング性能や安定性を考えるならJade Proがオススメです。その他で選択するポイントとしては、正直なところストローク・重さ・打鍵音の3点で決めて良いと思います。個人的にはあまり力を入れないタイピングをするため、軽く・浅く・音のキレイなJade Proの方が好みです。
現在Jade ProはNuPhy海外公式サイトで正式に取り扱っています。日本のAmazonでもGateronストアが出品しているため購入可能です。ちなみにNuPhy公式サイトだと、入れ物もNuPhy仕様になっているのでオススメです。
※ネットで検索していると、たまに怪しそうなショップで安く売っていたり、逆にぼったくり価格になっているものもあるので正規ルートのものか注意してください。
↓NuPhy海外公式サイトはこちら↓
補足
スイッチとは関係ありませんが、CAPSのスイッチ左横にボタンがあるのが分るでしょうか。こちらはField75 HEにもありました。Field75 HEを使っていて、手動ファームウェアアップデートが必要になったことがあり、その際にこのボタンを使用しました。現在はNuPhyIOでファームウェアアップデートできるようになっているので通常は使わないボタンだと思います。
磁気スイッチのスペック表記(イニシャル・オペレーティング)について
最近は磁気スイッチのゲーミングキーボードをレビューすることが多く、スイッチスペックをまとめていますが、磁気スイッチとメカニカルスイッチの「重さの表記」に違いがあります。「同じくらいの重さのはずなのに、メカニカルの方が断然軽いけど何で??」というような勘違いをしたことがあったので、ここで一旦整理しておこうと思います。
- 磁気スイッチ…イニシャルフォース
- メカニカルスイッチ…オペレーティングフォース or アクチュエーションフォース(イニシャルフォースを表記している場合もあり)
- イニシャルフォース…初動力。スイッチを押し始めた瞬間に必要な力。
- オペレーティングフォース or アクチュエーションフォース…作動力。スイッチを動作させるために必要な力。アクチュエーションポイントに達して信号を送るために必要な力。
上の画像はNuPhy Raspberryスイッチのダイアグラムとスペックです。ダイアグラムは、キースイッチの「押下⇒リリース」の際の「力と距離」をグラフにしたもので、これを見ると分かりやすいかなと思います。一番左の40より下がっている部分がイニシャルフォースで、オペレーティングポイントと示されている部分でオペレーティング(アクチュエーション)フォースがわかります。
メカニカルスイッチの場合は、オペレーティングフォースというと少し広義になってしまい、厳密にはアクチュエーションフォースと違うかもしれませんが、ほぼ同義で使われていることが多いと思います。そして、メカニカルスイッチには物理接点があり、作動点(アクチュエーションポイント)が明確に存在しています。そのため、オペレーティングフォースやアクチュエーションフォースが重要視されています。リニアスイッチの場合は接点が分かりにくいため、イニシャルフォースを表記しているメーカーもあります。
磁気スイッチの場合は、無接点方式で完全なリニアのため、そもそもオペレーティングフォースという概念がなく、押下した時の「初期抵抗感」を重視するため、スペック表ではイニシャルフォースが記載されています。
イニシャルフォースを日本語に直訳すると、初期荷重・初動フォース・押し始めの力。オペレーティング(アクチュエーション)フォースは作動力・押下圧・操作荷重と訳されていることが多いです。
例)CoralとRaspberryスイッチのスペックを比較した場合
● Coralスイッチ
イニシャルフォース:40gf±10gf
エンドフォース:60gf±10gf
● Raspberryスイッチ
オペレーティングフォース:46±15gf
エンドフォース:50±5gf
※ダイアグラムを見るとイニシャルフォース40以下
ダイアグラムを見た上でそれぞれの意味合いが分かっていれば「Raspberryスイッチの方が軽そうだな」と分かるので問題ありません。実際に使用してみてもRaspberryスイッチの方が軽く感じます。しかし、イニシャル=オペレーティングと考えてしまうと、Coralスイッチの方が軽いと勘違いしてしまいます(エンドフォースも参考にすると変わってくる部分もありますが)。
説明が長くなりましたが、私のように誤解してしまう方もいるはずでは?と思ったので、ご参考までに。
磁気スイッチ対応状況
NuPhyではNuPhyIOというWeb版のドライバーソフトウェアが準備されています。こちらでキーマップ変更やラピッドトリガーやDKSなど各種設定変更が出来るようになっています。そして、NuPhyでは対応スイッチを順次増やしているようで、現在は以下の5種類のキースイッチに対応しているようです。
※キースイッチ交換した場合にはキャリブレーションを行ってください
- TTC Magneto
- Gateron Magnetic White
- Gateron Magnetic Coral
- Gateron Magnetic Jade
- Gateron Magnetic Jade Pro
ドライバーソフトウェアはこちら
スペック一覧
Halo65 HEとField75 HEのスペックを比較してみました。シリーズが違うのでケース素材やデザインなど諸々違いはありますが、ベースとしては同じでようです。
NuPhy Halo65 HE | NuPhy Field75 HE | |
---|---|---|
レイアウト | ANSI 65% | ANSI 75% |
キー数 | 67キー | 83キー カスタマイズキー: 8キー(G1~G8) ギア型ノブ: RGB設定 スクロールホイール: ボリューム設定 |
キーキャップ | ダブルショットPBT Cherryプロファイル | |
Ghostbar | 〇 | |
スイッチタイプ | Normal-profile Magnetic Switches ・Magnetic Coral ・Magnetic Jade Pro | Normal-profile Magnetic Switches ・Gateron Magnetic White ・Gateron Magnetic Jade |
スタビライザー | プレートマウント | |
マウントタイプ | トップマウント | |
ホットスワップ対応 | はい | |
Nキーロールオーバー対応 | はい | |
バックライト | RGB-LED(南向き) | |
バックライトモード | 20 | |
Halolight | Halolight 1.0 | なし |
対応OS | macOS/Windows/Linux/Android/iOS | |
動作環境 | -10~50℃ | |
MCU | Nu1-8K-S-2405 MCUクロック144MHz | |
接続方式 | 有線(キーボード本体端子:USB Type-C)のみ | |
有線ポーリングレート | 8000Hz | |
PCBスキャンレート | 2500Hz | |
レイテンシー | 0.25ms | 0.5ms |
ケース素材 | トップケース:アルミニウム ボトムケース: ABS | トップケース: ABS ボトムケース: ABS |
プレート素材 | アルミニウムプレート(ケース一体型) | アルミニウムプレート(シリコンパッドあり) |
音響フォーム | 2種類のPoronフォーム ボトムシリコンパッド | |
寸法 | 318.0 mm x 114.5 mm 前高: 18.5 mm 後高: 28.3 mm (キーキャップを含まない高さ) | 幅 372.3 mm x 長さ 142.8 mm 前高: 21.0 mm 後高: 31 mm (実測) (キーキャップを含まない高さ) |
重量 | 788g | 1205g |
タイピング角度 | 5º/8.5º/12º | 4º/9º |
パッケージ | 1 x Halo65 HE キーボード 1 x 1.5m ケーブル 1 x キーキャップ/スイッチプラー 6 x 追加キーキャップ 1 x クイックガイド/ポスター Download | 1 x Field75 HE キーボード 1 x 1.5m ケーブル 1 x キーキャップ/スイッチプラー 4 x 追加キーキャップ 1 x クイックガイド/ポスター Download |
まとめ
今回のレビューでNuPhy Halo65 HEを使ってみて一番感じたことは、打鍵感・打鍵音の良さです。CoralとJade Proスイッチに対応したことが大きいと思います。初代Halo65を思い出すような、トップマウントでがっちり硬めの打鍵感。メカニカルのガスケット構造も素晴らしいのですが、きびきびした古き良きトップマウントも良いですね。それに加えて、打鍵音も向上してキレイになっているため、ゲーミングだけでなくタイピング用途でもオススメできるキーボードです。
磁気スイッチ式のゲーミングキーボードは、打鍵感・打鍵音があまり良くないというイメージがありますが、2024年のこの1年でかなり進化したように思います。あとは、対応スイッチがもっと増えてくれると嬉しいですね。
最後に価格について、NuPhy JapanではMagnetic Coralモデルは21800円、Magnetic Jade Proは23800円となっています。海外公式サイトでは$99.95と$109.95となっています。NuPhyの中ではField75 HE (Jade)が28380円だったので、比較的安めの価格設定になっていると思います。
NuPhy Japanの2025新春初売りでHalo65 HEも対象になっているので、2025年1月1日~1月5日の期間限定で20250円で販売するとのことです!ぜひチェックしてみてください。
※新春初売り対象商品は10%OFF独自クーポンコードは使用できません
ちなみに、Halo75 HEが出るのかどうかは今のところ不明です。おそらくリリースすると思いますが、メカニカルのHalo65 V2が未だに発表されないので、最近のNuPhyは予想がしづらいですね…。そのため、ファンクションキー(F1~F12)なしのコンパクトサイズの方が好きならHalo65 HEがオススメですし、75%レイアウトの方が良いという方はHalo75 HEを待つか、ちょっと高くつきますがField75 HEをJade Proに換装するのもアリだと思います。
以上、NuPhy Halo65 HEのレビューを終わります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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