今回はキーボードではなく、サイレントキースイッチの比較レビューをします。私自身、コトコト・カタカタと心地良いタイピング音や打鍵感が好きでメカニカルキーボードを使っていますが、Web会議だったりシェアオフィス・カフェなど、タイピング音が気になるシーンも多く、そういった場ではサイレントスイッチを使うこともあります。とは言え、サイレントキースイッチのイメージとしては、シリコーン感があって微妙という声も聞きます。実際に私が以前使っていたサイレントキースイッチがそれだったので…。
ここ数カ月の間、Epomakerや他社メーカーでも、サイレントキースイッチを新しくリリースしているので、今回はEpomakerで取り扱われているサイレントキースイッチを紹介します。Epomakerの中では少し古く2023年発売の「Sea Salt Silent」、今年の4月に発売した「Nude Rosa Silent」、そして同じくらいの時期に販売開始された「CIDOO Silent Blue」を比較してみました。
3種類のサイレントスイッチの打鍵音をメインにレビュー動画を用意しました。サウンドチェックは01:37からとなっています。また、今回はサイレントスイッチの性質上、音が聞こえにくいと思うので、サウンドチェックからBGMなしにしています。ヘッドホンで聞くと更に聞こえやすいと思います。
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各キースイッチの特徴
3つのキースイッチについて特徴をまとめています。スイッチ単体のサウンドチェックやAULA F65・F75とCidoo V65 V2でタイピングテストした上で、打鍵感・打鍵音についてコメントをしています。とは言え、打鍵音については、どれくらいの静音性なのか聞いてみたほうがわかりやすいと思いますので、ぜひレビュー動画で実際に聞いてみてください。
前提として、3つともしっかりとした静音スイッチのため、オフィスでの使用など音に気を付けたい場所でも問題なく使えると感じるくらいの静音性です。普通のノートパソコンとは音の種類が違いますが、それと同等もしくはそれよりも静かだと感じました。
Epomaker Nude Rosa Silent スイッチ
スイッチの名称は「色」で表現されていることが多いのですが、Epomaker Nude Rosa Silentも、色で名称がつけられているようです。公式サイトに掲載されていましたが、詩的な感じで表現されていたので、こちらでは直訳から意味を調べてみました。読み方としては「ヌードローザ」で、「肌色に近い自然なピンク(バラ色)」という意味合いになるようです。また、コスメ系で使われている言葉で「落ち着いたピンク系の色」を表しているようです。
Nude Rosa Silentは、3種類の中でも一番軽い作動力39gfで、21mmのロングスプリングを採用しているため、ゲーミングとタイピングの両方に適したキースイッチです。もう一つの特徴として、ステムにUPE(超高分子量ポリエチレン)樹脂を採用。UPEは低摩擦・高い耐摩耗性・高強度・耐衝撃性があるため静音スイッチとの相性が良く、滑らかな操作感、耐久性、静音性に優れています。また、ハウジングはPC(ポリカーボネート)素材ですが、こちらは耐衝撃性を高め、安定した打鍵感に貢献していると思われます。
AULA F65に取り付けて試してみたところ、打鍵感は3つのスイッチの中で一番滑らかでした。初めて味わうタイプの滑らかさで、表現が難しいのですが、それこそ滑らかな肌感覚というか少し石鹸やロウソクのような滑らかさがありました。また、ロングスプリングのお陰で、軽いスイッチにありがちなボトムアウト後の跳ね返りが弱いということもなく、安定したタイピングが可能です。打鍵音についても3つの中で一番静音性が高くクリアです。ボトムアウト時にコトコトとした音がほんのり残っているような感じでした。耳障りな感じもなく、優しい雰囲気の打鍵音なので、オフィス環境でも全く問題ないと思います。
※レビュー動画でも触れいますが、キーボード中央ASD横一列の打鍵音がカツカツとした音が鳴ってしまいます。明らかに他の列とは違う打鍵音になっています。AULA F65をデモ機にしていて、デフォルトのCherryプロファイルキーキャップを使用しています。色々と試してみたところ、Cherryプロファイルだと高さが微妙に合わないようで、キーキャップがスイッチに干渉してしまっているようでした。OEMやmSAプロファイルのキーキャップで試したところ、他の列と同じように「ほんのりコトコト」とした打鍵音になりました。Nude Rosa Silentを使用する場合は、キーキャップの高さに注意が必要だと思います。
CIDOO Silent Blue スイッチ
同時期に発売したCIDOO Carda Switchは植物由来の名称ですが、CIDOO Silent Blueは名前のとおり色を元にモデル名がつけられています。公式サイトに掲載されているデザインコンセプトとしては、砂浜に広がる澄んだ空色を連想し、デスク環境にもゆったり落ち着いた雰囲気をといったところ。
作動フォース47gf、総トラベル3.8mm(プリトラベル2.0mm)なので、スペックとしては平均的なところだと思います。スプリングが15mmと短めで安定感と耐久性があるようです。素材については、ナイロンハウジングにPOM(ポリアセタール)ステムという構成。ナイロンも強度の高い素材で、PCに比べると柔軟性があり、衝撃を吸収するような働きがあります。また、POMステムなので滑らかなタイピング感覚となっています。Nude RosaのUPEステムと比較すると、UPEの方が滑らかではあるものの、POMの方が硬い素材で耐久性に優れています。スペック比較表にもあるように耐久回数が1億回となっているので、非常に長持ちするスイッチです。
こちらはCIDOO QK61 V2に取り付けて試してみました。打鍵感はとてもスムーズで柔らかいタイピング感覚となっています。底打ち感もしっかりしていて、タイピングしている感覚がありつつも静音性が保たれているのではないでしょうか。CIDOO Silent Blueは少し打鍵音が変わっていて、コンセプトどおり砂浜のような雰囲気? スコスコ、サクサクっとした感じがあり、他のスイッチとは一風変わった雰囲気があります。POMステムなので、使い込んでいくことで変わっていくかなと思います。また、普通のキースイッチでも起こる現象ですが、ボトムアウトからキーが戻った時のリリース音が一番強く感じられました。ちなみに、Nude RosaとSea Salt Silentは、このリリース音が抑えられているように感じました。
Epomaker Sea Salt Silent スイッチ
Epomaker Sea Salt SilentはEpomakerの中でも定評があり長生きなスイッチとなります。前回レビューしたAULA F65でも採用されているFlamingoだったり、Budgerigarなど、Epomakerでは自然界をモチーフにしたスイッチが多く、その中に元々Sea Saltというノーマルスイッチがあります。こちらも人気が高いようで、そのサイレント版として2023年初めから単体販売されるようになりました。Epomaker RT100でSea Saltが選択でいるようになっていて、その辺りから認知度が上がったように思います。
Sea Salt Silentについては、あまり詳しい情報が出ていませんが、作動フォース47gf、総トラベル3.8mm(プリトラベル2.0mm)となっていて、CIDOO Silent Blueと同じようなスペックです。素材的には、ボトムハウジングに衝撃を吸収するナイロン、トップには透明なPC、ステムは滑らかなPOMという素材構成。Nude RosaやCIDOO Silent Blueの統一感のある構成とは違い、中間的な素材構成が特徴的です。
AULA F75に取り付けて実際に使用してみたところ、3種類の中で打鍵感・打鍵音ともに中間に位置するような感じで、何とも丁度良い具合で汎用性が高く、今でも人気がある理由が分かりました。打鍵感としては滑らかでありながらも静音スイッチらしい反発感がありました。CIDOO Silent Blueと同じく47gfという重さですが、打鍵感の違いからSea Salt Silentの方が若干軽く感じました。CIDOO Silent Blueよりは静かですが、同じようなスコスコした感じの静音スイッチらしい打鍵音です。
構造確認
私が今まで使った静音スイッチはAkko Fairy Silentだったり、名前も覚えていないようなものでしたが、どれも静音性は非常に高いものでした。しかしながら、シリコーン感が強くて正直タイピングしている感覚に違和感を覚えるくらいでした。今回紹介している3つのスイッチの構造を確認してみたところ、従来のシリコーンによるショック吸収するタイプではありませんでした。公式サイトでは構造について特に記載されてなくて、Gateronのダンパーやショルダー構造とも違い、何という構造なのか分かりませんでした。
その構造というのは、ステムの最下部に切り込みされたような形になっていて、アームのような形状になっていました。このアームがしなることで衝撃を吸収する構造になっていました。ステムの両サイドのガイド部分にも溝が入っていて、ショックを吸収するような形状になっていました。Nude Rosaだけ少し形状が違いますが、Silent BlueとSea Salt Silentは同じようなステム形状になっています。また、ステムやボトムハウジングの底面を確認してみましたところ、特別何か仕掛けがしてあるわけではありませんでした。
スペック比較
スペックを公式サイト等で調べて比較表にまとめました。一部記載されていない項目やグラフ画像とスペック表の情報に差異があったので、グラフ画像を優先して情報をまとめています。そのため、公式サイトのスペック表とは異なる部分があります。
モデル | EPOMAKER Nude Rosa Silent スイッチ | CIDOO Silent Blue スイッチ | EPOMAKER Sea Salt Silent スイッチ |
---|---|---|---|
タイプ | Linear | Linear | Linear |
ピン | 5ピン | 5ピン | 5ピン |
ルブ | 潤滑済み | 潤滑済み | 潤滑済み |
トップハウジング | PC | Nylon | PC |
ボトムハウジング | PC | Nylon | Nylon |
ステム | UPE | POM | POM |
スプリング | 21mm Long Spring | 15mm | (実測) 15mm |
作動トラベル | 2.0±0.4mm | 2.0±0.5mm | 1.50-2.00mm |
総トラベル | 3.6±0.4mm | 3.8±0.3mm | 3.8mm |
初動フォース | 記載無し (約29±4gf※1) | 35gf Min | 35±5gf |
作動フォース | 39±5gf | 47gf±5gf | 47±5gf |
ボトムフォース | 45±5gf | 55gf Max | 60 gf |
耐久性 | 5000万回 | 1億回 | 6000万回 |
1セットあたり | 35個 | 35個 | 35個 |
公式サイト価格 (Amazon JP) | $14.99 (2,912円) | $12.99 (在庫切れのため不明) | $16.99 (2,913円) |
まとめ
いつもは通常のメカニカルスイッチをを紹介していますが、今回初めてサイレントスイッチを紹介してみました。正直なところ、どのサイレントスイッチも大差ないと思っていましたが、3種類それぞれに違った感覚で驚きました。構造もEpomakerやCIDOO特有のものになっていて、今までのシリコーン感の強いサイレントスイッチとは違う打鍵感。通常のメカニカルスイッチに近い打鍵感でありながら静音性を保っているという印象でした。もちろん、ボトムアウト時にショックを吸収されている感覚は多少ありますが十分許容できる範囲だと思います。
価格についてEpomakerで取り扱っているキースイッチはお手頃価格なものが多いのですが、今回紹介したサイレントスイッチについては平均的な価格帯となっています。通常価格 1パック35個入りで2900円くらいになっています。現在Amazonブラックフライデーで25%OFFになっているため、「Nude Rosa 2184円」「Sea Salt Silent 2185円」となっています。CIDOO Silent BlueはAmazonでは現在在庫切れになっています。EpomakerもしくはCIDOO公式サイトでの販売となっていますが、こちらも品薄状態が続いているようです。
「オフィスでもメカニカルが使いたい!」けど「音が気になる」という方にオススメできるサイレントスイッチです。オフィスや外出時には静音スイッチのキーボード、自宅では通常スイッチのキーボードという使い分けができると思います。個人的には独特な滑らかさと優しいコトコト感のあるNude Rosa Silentが一番お気に入りです。Sea Salt SilentとCIDOO Silent Blueもそれぞれに良さがある素晴らしいサイレントスイッチです。YouTubeのレビュー動画も公開しているので、ぜひ打鍵音を確認してみてください。
以上、Epomaker Nude Rosa、Sea Salt Silent、CIDOO Silent Blue 3種類のサイレントスイッチのレビューでした。
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